0.投稿の動機
とある案件で、Salesforceから送信するメールが迷惑メール扱いになり、受信者側にメールが届かないという事象が発生しました。
他サイトでも設定方法を解説しているものはあったが、個人的に解説の内容がわかりにくいと感じるものばかりだったので、本記事を投稿しようと思いました。
なお、本記事を参考に設定を実施してもセキュリティーが厳しいメールサーバーでは迷惑メール扱いになってしまう可能性があるため万能ではない点にご注意ください。
1. 対象の読者
①これからSalesforceの機能を使ってメール配信の実装をしようとしている方。
②以下のような事象が起きていて、回避方法がわからない方。
・Salesforceの機能を使用してメールを送信したが受信者側に届いていない。
・Salesforceの機能を使用してメールを送信したが迷惑メール扱いになってしまう。
2. 設定内容
1. メールの設定
2. 「DKIM 鍵」の設定
2-1. 設定手順:メールの設定
① 設定画面を開き、「クイック検索」に「送信」を入力し、メニューにある「送信」を
クリックします。
② 「メールセキュリティ準拠 (Salesforce またはメールリレーからのメールのみ)」
セクションにある「送信者 ID 準拠を有効化」を無効化して保存します。
2-2. 設定手順:「DKIM 鍵」の設定
設定の前に、DKIM 鍵とは...
DKIM(Domain Keys Identified Mail)は、CiscoとYahooが提唱した、送信者が
メッセージに「署名」を付与できる暗号技術です。
メールの受信者は、そのドメインを管理する送信者が責任を持って送信したかを
チェックできます。
メッセージがDKIM認証されていない場合、GmailやMicrosoftなどのメールプロバイダはメッセージをブロックして受信箱に届けないことがあります。
① 設定画面を開き、「クイック検索」に「DKIM 鍵」を入力し、メニューにある
「DKIM 鍵」をクリックします。
② 「鍵を新規作成」します。
③ 詳細情報を入力して、保存します。
※本記事では例としてドメインを「sample.com」とします。
・鍵サイズ:
メール受信者の制限や業界固有のセキュリティ規制を考慮する。
・セレクタ:
一意の名前を入力します。
・代替セレクタ:
一意の名前を入力します。
この代替セレクタにより、Salesforceが鍵を自動循環できます。
・ドメイン:
迷惑メール回避したいアドレスのドメインを入力します。
※本記事では例としてドメインを「sample.com」としています。
・ドメイン一致パターン:
ドメインパターンのカンマ区切りリスト。
このパターンにドメイン名が一致していないと、Salesforce は
この DKIM 鍵でメールに署名できません。次に例を示します。
※本記事では例としてドメインを「sample.com」としています。
入力 | 解説 |
---|---|
sample.com | 送信ドメインのドメインレベル (「mail.sample.com」ではなく「sample.com」) が一致する場合にのみ署名 |
*.sample.com | 送信ドメインのサブドメインレベル (「sample.com」ではなく「mail.sample.com」) が一致する場合にのみ署名 |
sample.com,*.sample.com | 送信ドメインのドメインレベルとサブドメインレベル (「sample.com」と「mail.sample.com」) が一致する場合に署名 |
※一度保存してしまうと「ドメイン一致パターン」以外の項目は編集不可になります。
※保存した後すぐに「DKIM 鍵」を有効化することはできません。
④ 保存完了後、設定した「DKIM 鍵」を開き、「CNAME レコード」と
「代替 CNAME レコード」確認し、これらをDNSサーバに登録します。
DNSサーバへの登録が完了すると「有効化」ボタンが活性化します。
有効化が完了すれば設定終了です。
3. 注意
今回「DKIM 鍵」を設定することで迷惑メールになることを防ぐことが可能であることがわかりましたが、セキュリティが厳しいメールサーバーでは、DKIM認証で設定されているドメインが信頼出来ないと判定されると、迷惑メールに振り分けられる可能性があります。
その為、本記事の設定方法が必ずしも万能ではないことをあらかじめご理解ください。
4. まとめ
Salesforceから送信したメールが迷惑メール扱いになってしまったり、正しくメールが受信できない場合の対処方法を解説しました。
今回、本記事の内容の設定を実際にする中で、メッセージがDKIM認証されていない場合、GmailやMicrosoftなどのメールプロバイダはメッセージをブロックしてしまい正しくメールを受信できない場合があることを知ることができました。
Salesforceの標準設定をしていると予期していない問題が発生することがよくあるが、標準設定の知識をさらに身に付けていき、設定の中で発生する問題の解決方法についてこれからもどんどん発信していきたいと思います。